寺子屋いちばん星の風景 〜「木登り」を通して、子どもの成長を考える〜
- 2020.11.22 Sunday
- 15:45
※前回のブログ「寺子屋いちばん星について」をまだお読みでない方は、そちらに目を通してからお読みいただくことをお勧めします。
では、前回のブログより、寺子屋いちばん星の風景という保護者向けのブログの一つを紹介します。
こんにちは!
先週は驚くほどの暖かさでしたが、寺子屋で毎日訪れる緑地の桜の木の葉は紅く染まって落ち葉となり、あれほどたくさんいた虫たちの姿はほとんど見られなくなりました。
緑地の秋もそろそろ終わりでしょうかね。
さて、生き物ばかり追いかけてきた子どもたちですが、最近は「生き物いないね〜。」と、少し不満そう…。このまま寺子屋の秋探検はどうなってゆくのか?もう終わり!?
そんな不安をよそに、子どもたちはまた新しい遊びを見つけ、夢中になり始めたようです(笑)
何をしているかわかりますか?
はい、これでも木登りです(笑)
腰が引けていますね(笑)
今の子どもたちに木登りの経験がある子はどれほどいるでしょうか?
木登りはとても頭と体を使います。どこに手をやり、どちらの足に重心をかけるのか、踏ん張るのか。スリルを楽しみながら、時には恐怖と戦いながら、高いところへ登りたいという好奇心、探究心を元にチャレンジするのです。実際にやっている子どもたちを見ていると、本当に頭を使っています。とてもいい緊張感のもと、絶妙に感覚を研ぎ澄ませて手足のやり場を試しているんです。
「手でここをもって、こっちの足をここに引っ掛けながらそっちの手でこの枝を握って。。。」
と自問自答を繰り返し、やってみたら「あー!やっぱり怖い!!」と体の態勢をまた元に戻して考え直し…。
こんな繰り返しで、すいすいとはいきません。
でも、自然と向き合い、五感をフルに使って真剣に、しかも本気でその時間を楽しんでいる。。。
教師経験者としては、こんなに深い教材にはなかなか出会えないと、そちらの目線で興奮してしまいました(笑)
ゲームやテレビ(アニメ)、スマホなどを媒体とし、今は仮想(疑似体験)で楽しめることが人間社会にあふれています。
自分ではない仮想の主人公が自分の代わりに危険を冒し、痛みを受けてドキドキハラハラさせてくれます。
そして、ハッピーエンドとなった時にドーパミンが分泌され、快感を感じているのです。
そのような社会にいる人々は『仮想(疑似)』という安心感のもと、そこに身を委ね、快楽をたくさん得ています。
しかし、これからたくさんの困難や苦労という現実に向き合い、強く生き抜いて幸せを自らの力でつかまねばならない子どもたちにとって、そればかりでは到底良い環境とは考え難く(大人もそうですね)、やはり現実と向き合う遊びの中で様々な感性を磨いてほしいと思います。私たち大人は、簡単に快楽を子どもに与え続けることで、子どもが本来育たねばならない感性を奪ってはいけません。子どもが成長していく環境を整えてあげることは、大人としてとても大切なことだと思います。その努力は、必ず子どもが「成長」として返してくれます。ぜひ前向きに子どもの環境を整え、向き合ってあげてくださいね。
さて、話を元に戻しますが、1本の木と向き合い、
「こうすると痛い」「ここまでやると危ない」「木も生きている。この枝を折ると…」
こんなことを考えながら何度も何度もチャレンジして達成したときに得た感覚は、現代の子どもたちにはとてもとても貴重な人生の財産です。このような経験をたくさんした子が、
・よく考え、想像し、先を見て行動できる人
・人の努力や苦労、痛みがわかる思いやりのある人
・過去の成功体験の積み重ねを信じることができる『自信』『自己肯定感』⇒目標を掲げ、前向きにチャレンジする人
に育っていくのだと思います。
これから子育てをされる保護者の方々には、このような視点を参考にしていただけたら幸いです。
あれから、子どもたちはもう少し高いところまでいけるようになっています。僕が補助に入らないとできないきまりになっているので、「僕(私)の番だよ!」と順番でもめたり、「早くして!!」とせかしたり…。なのに、二人はびっくりするほど仲がいいんですよ!!そんな生きる喜びにあふれる無邪気な子どもの姿は、本当にかわいらしく、微笑ましく、こちらにまで生きる喜びやエネルギーを分け与えてくれます。このようにすてきな子どもたちと同じ時を過ごせる僕は本当に幸せ者だなぁ〜とつくづく思いますし、子どもたちや通わせてくださる保護者の方々に日々感謝しています。僕自身も保護者の方々を支えるべく、寺子屋・園長経験を積んでいく中で、日々学ばせてもらったことを保護者の方々に返していきます。
今後も寺子屋いちばん星一期生の子どもたちの成長にご期待くださいね!
※木登りは危ないからと止めてしまうのは子どもの可能性を摘んでしまうので、僕が下にいて極力危険がないように見守っています。また、促すことはしますが無理やりさせることはありません。もし、保護者の方で不安な方がいらっしゃれば寺子屋(年長クラス)になった時にご相談ください。